fc2ブログ

記事一覧

Polychromatic music | Dolores Catherino | TEDxSacramento 日本語訳


tumblrより引っ越し記事第2弾です。
日本にはまだまだ海外の微分音最新情報など入りにくい状況です。微分音で作曲や演奏されている方、興味はあってもなかなかとっつきにくいと考えられてる方に少しでもご協力できればと思いブログ運営しています。
微分音を体系的に勉強するには、気鋭の微分音研究家・作曲家の清川隼矢氏による微分音のメモ帳もオススメです!

それでは以下、Dolores Catherino さんのTEDスピーチ記事を引っ越し転載したものです。


大急ぎの下手な訳で申し訳ありませんが、日本語に訳にしましたのでご興味ある方は是非ご覧ください。(YouTube上の字幕はつけておらず、ここに日本語訳紹介するのみです。)訳していてとても勉強になりましたし、Doloresさんの未来への、音楽への情熱に胸を打たれました。「未知との遭遇」のあのシーンは、僕にとっても印象的だったな。それでは以下、日本語訳です。今んところの。 



0:13
鳥が鳴いている時の音を本当に聴いたことがありますか?

-鳥の声、会場に流れる-

私が一番大きく気づいたことなのですが、私たちの音楽の言語というのはこのようなメロディの複雑さを表現するにはシンプル過ぎるのです。

この警報の音を聴いて、分割できない音のピッチの連続性に注目してみてください。

-警報音、会場に流れる-

0:56
ピアノに目を向けると、黒鍵と白鍵がありますね。
そしてそこには、今聴いたようなピッチの連続性があるのですが、音楽の表現としてはたった12音になってしまいます。

-オクターブを弾く-

しかし、実際にはもっと沢山の音を聴くことができるのです。
それなのになぜ、この500年も昔の白黒のクロマティック(12音)の言語が現代でも音楽のスタンダードになっているのでしょうか。
Tonal Plexusのキーボードで、白鍵と黒鍵の間にもっと沢山ある音程を探求することができます。
私はこれらの新しい音程を、カラードピッチ(色つきのピッチ)と考えています。ピアノの白いC(ド)の代わりに、赤のC、オレンジのC、黄色のC、とまだまだあります。

こうしたピッチと目に見える色彩には関連性があって、私はそれをポリクロマティックと呼んでいます。

違いを聴いてみてください。

-Nord Leadのオクターブ演奏-
-Tonal Plexusのオクターブ演奏-

2:17
このポリクロマティックの言語は、ピッチカラーを使用するための新しい世界の扉を開きます。私が自作の作曲のために使うピッチのパレットは106個あるんです。

そしてこの沢山の音程には、本当に大きな可能性があります。
また、探求すべき素晴らしいサイコアコースティック(psychoacoustic)な効果もいくつかあります。

2:41

どういうことがお見せしますね。2つの音程を同時に弾いてみますが、実際にはもっと沢山に聴こえるでしょう。
ゴーストノート(※訳者注 かな、多分?)を聴いてみましょう。
音楽の中で新しいハーモニーのセットとして創り出されています。
ですのでこれはミュージシャンによって演奏されるものではありません。
この新しい倍音(harmonics)は私たちが耳を使って聴くことはできますが、
テクノロジーによって可視化、測定ができるという性質のものではないからです。 (※訳者注 最初にここの意味をあべこべに訳してしまっていたので、訂正しました。)


3:10
-Tonal Plexus演奏-

3:43
ピアノや電子キーボードを聴くとき、私はよく、なぜ技術的にはちゃんと調弦されていても、上の方のオクターブの音がフラットに聴こえるのか不思議に思っていました。

3:52演奏
(※訳者注 ファラドのアルペジオが高くなるにつれて、フラット聞こえるのに注目。)

私たちの「聴く」というプロセスですが、ピッチを聴くときには、私たちの音楽の言語のデザインのされ方とは大きく異なっているということがわかります。

音楽のテクノロジーの進歩によって、今なら私たちは実際の耳に適合させたトーナルな言語を創り出し、それに対して新しい方法で挑戦することができるのです。

私は音楽の教育を、中学生の頃、他のあらゆるの楽器の中から、オルガンによって受け始め、高校時代にはサックスを始めました。その頃より、他の沢山の楽器も探求しています。木管楽器、パーカッション、絃楽器、そしてごく最近では夢のようなエレクトロニックのミュージックコントローラーたちです。

子供の頃、ローラースケートのリンクでラジオの音楽を聴いていると、それが古い音楽の創造的なバリエーションのように思えたのですが、でも何かがもっとあるはずなのだという感覚があったことを覚えています。
(※訳者注 Creative Variationを創造的なバリエーションと訳していますが、ここでのCreativeはそれほどポジティブな意味では使われていないと思います。)

映画「未知との遭遇」を見たことが、私にとって重要な瞬間となりました。
特に、宇宙船が地球に降り立ち、人類とコミュニケーションをしようとするシーンです。そして、宇宙の言語って音楽なんです。
それ以来、宇宙を旅行するような進化した文明の音楽ってどんな風に聴こえるんだろうって想像し続けています。

5:22
-未知との遭遇 映像-

私にとってすごく興味深いことなのですが、SFというジャンルの映画の中で、映像イメージはまさに驚異的なのに、未来を描く音楽は過去のものを基調とした、判で押したように同じようなスタイルになってしまうのです。
未来の音楽がどんなものとなりえるかを想像するのって、私たちにとってそんなに困難なことなのでしょうか。

大学で作曲を学んでいた頃私は、もし既に黒鍵と白鍵のクロマティックな言語ではもう何もやり尽くされていて、探求もされ尽くしていて、残されたものが古くて制限のあるシステムの創造的なバリエーションくらいしかなだなんて感じたら、そんなものからはインスピレーションなんて到底得られないと悟りました。

そしてこのことが私を12音以上あるMicrotonal Music(マイクロトーナルミュージック/微分音音楽)に導きます。マイクロトーナリティ(微分調性)はクロマティックな言語の拡張であり、その楽譜は依然として白黒です。そこには異なっていて互換性のない、とても混乱を招くような記号が沢山あり、そのため音楽の新しい基礎としては使用し難いものとなっていました。

私たちの聴覚と視覚の記譜法の両方、ピッチカラーの認知に焦点を当てることで、今や私たちにはあらゆる近く可能なピッチのパレットを探求するための直感的なシステムが得られます。そしてそこには新しいピッチカラーの組み合わせの発見や、それを使った音楽の創造に対する、何の制限もありません。

音楽教育の重要性について再認識していただきたいのです。
高度なテクノロジーと電子音楽の時代において、バイオリンの演奏がサンプラーによって模倣されることの重要性の意味を感じることは容易ではありません。ドラミングだってマシーンによって模倣されます。
それに今では誰もがAudto-Tuneを使って歌うことができます。

(会場笑)

7:35

しかしながら音楽を学ぶ上で真に価値のあることは、練習から得られるものなのです。練習が私たちの認知の視点の多様性を発展させ、そしてこれが最も重要なことなのですが、忍耐力をつけさせる長いプロセスとなるのです。

こうしたことを私たちは発展させ、新しい技術に適用させます。
私にとってはギターやバイオリン、サックスに鍵盤楽器がやがて何百もボタンのある新しいキーボードにアプローチするための多様な視点とオープンさを得ることに役立つことになりました。
そうやって異なった調性を探求し、音楽表現、スケール、コード、アルペジオの技術的により流暢なものにするために、ピッチをどうやって割り当てるかを見つけ出すということを試すことができたのです。

そして同じくらい大切なことなのですが、このシステムは直感的であることを確認してほしいです。1オクターブに106もの音程があるなんて、誰にとっても頭が痛くなりますよね、私も分かっています。しかしそれをシンプルにし、
ピッチカラーと関係性を結ばせることで、より学ぶことも記譜することも容易 になり、究極的にはそれとともに新しい音楽の作曲ができるようになるでしょう。

私の自身の旅(探求)と音楽が、創造的な好奇心を育成し、人生のあらゆることを発展させ、そしてこれは私の音楽と情熱にとって一番大切なことですが、それが新しい調性の言語を探求させ続け、新しいシステム、直感的なシステムを発展させるのです。

白と黒の鍵盤は、まだまだ発見されるべき音の形や色が沢山ある、音響上の氷山の一角に過ぎません。

音楽は進化する言語です。私は皆さんに、そこにあって、探求されることを待っている終わりのない世界の感覚を残したいのです。
このアイデアは毎日私のイマジネーションへの刺激となり、音楽に対して本当に興奮を呼び起こします。

9:40
今では年々、テレビが高解像度になるのを目にしていますよね。
現代はピッチカラーミュジックが高解像になり、それをサポートするために活用するオーディオテクノロジーについても夢見られる時代なのではないでしょうか。

ポリクロマティック・ミュージックとして作曲した作品を演奏します。今はカルトな傍流ですが、いつか発見されることを待つ、こうしたすべての新しい音楽言語の未来を開くような感覚を受け取って頂ければ幸いです。

10:06
ポリクロマティック・ミュージック 演奏


翻訳・記事作成 H. Wakabayashi







This is my Japanese translation of Dolores Catherino's Speach at TED. I will introduce lot's of microtonal musicians from all over the world mainly to Japanese readers. If you are a microtonalist wanting introduced, interviewed for Japan, don't hesitate to let me know!

スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント